ライブペイントをマスターすると、版分け作業が格段に楽になります。入稿データを自分で分版する必要がある場合、この方法を知っていると便利です。ライブペイントは、分割された色面をつくるのにも使えます。
2013.06.29
記事内に、『Illustrator ABC』の関連ページが記載されています。そちらもご覧いただくと、機能やメニューについての理解が深まります。
今回は、特色2色のポストカードの入稿データを例に解説します。使ったのは、赤インクと白インクです。印刷所はレトロ印刷さんです(ただし、この記事はレトロ印刷さんの監修のもとに書いているわけではないので、間違いがあることもあります)。
グレーのフレームは、裁断位置を確認するためのトリミング枠です。業界標準的な名称はなさそうなので、呼び名はデザイナーさんによっていろいろ変わります。
わたしは長方形の線を外側に揃える設定にして、線幅極太にしてつくっていますが、この手が使えるのはけっこう新しいバージョンなので、古いバージョンの場合は大小2つの長方形で中マドするとか、そんな感じですね。
パーツを組み合わせてレイアウトを決めます。前後関係が狂ったら、重ね順で調整します。
トンボまわりを整備した状態です。カラーチップや天地の指示などは、印刷所が配布しているフォーマットからひっぱってきています(用意されているフォーマットそのままだとちょっと使いづらいので、わたしは自分用のフォーマットをつくってます)。
一般的な印刷所だと、これであと特色をきっちりあてれば入稿できるんですが、レトロ印刷さんの場合、色ごとに墨1色に分解して印刷原稿をつくらないといけないので、このあとその作業をやります。
版分けするオブジェクトすべてを、ライブペイントグループに変換します。そのあと、拡張します。
ライブペイントグループの作成&拡張のセットは、パスファインダーの分割と同じ効果があるうえ、たとえばライブペイントで透明にした部分は削除できたりするので、要らない部分を削る作業によく使ってます。
まずは赤インクで刷る版をつくるので、白インクで刷る色を共通選択で拾って削除します(色数分だけファイルを複製していない場合、別レイヤーに移動します)。
ここは最終的に透明(インクなし)になる部分なので、削除します。
不要な色の部分をかたっぱしから白1色に変更する、という手もあるんですが、入稿前に確認するときに、ぱっと選択してカラーパネルでK100というのがわかる安心感から、この方法で版分けしてます。もっと複雑な図案のときはあきらめますが。
赤インクで刷る部分を、パスファインダーで合体しておきます。やってもやらなくても結果は同じなので、やらなくてもいいんですが、不要な継ぎ目はつないでおいたほうが、事故る可能性も低くなるので。
赤インクで刷る部分を墨1色に変更します。未使用項目の選択を利用して、スウォッチパネルを整理しておくと、作業がスムーズです。うっかりミスも減らせます。
そいえば箔押し用の版なども墨1色でつくったりしてますね。最初のころはほんとに墨1色でいいの? 間違って黒であがってきたりしないの、ってのが心配だったりしましたが。
図案がトンボに重なる場合は、クリッピングマスクでトリミングしておきます。こういうのはお作法っていうより、どうやったら印刷所のひとが作業しやすいか、ってのを考えながら原稿つくると、だいたい大丈夫だと思います。
白インクで刷る部分の版の状態です。こちらも左右が盛大にトンボにかぶるので、クリッピングマスクかけてます。